日本茶がおいしい季節になりましたね。
せっかくならば、香り高い日本茶を楽しみたいものです。
すっかりペットボトルが普及し、お茶を入れるという機会は少ないですが、最近また急須を使って、ゆったりと日本茶を味う文化が復活しつつあります。
しかし、一言に日本茶を入れるといっても、煎茶、番茶、玉露によって美味しく入れる手順が異なる事を知っていますか?
そこで今回は、日本茶を美味しく入れるためのアレコレをご紹介します。
日本茶の入れ方の違いは温度
日本茶の入れ方は、茶葉の種類ごとにその手順が異なります。
それはそれぞれの茶葉ごとに、美味しく入れる事ができるお湯の温度が違うためです。
まずはその違いをみていきましょう。
そもそも日本茶の種類は、大きく煎茶、番茶、玉露、そして加工茶としてほうじ茶、玄米茶に分けることができます。
煎茶と玉露は、低温でゆっくり蒸らす事で、美味しい味わいを生むのです。逆に高温で入れてしまうと、渋みが出てしまう事も。
一方、番茶、ほうじ茶、玄米茶は苦みが出にくいため、熱めの温度で楽しむのに適しています。
煎茶 70~90度前後
最もメジャーな日本茶である煎茶は、日光をたくさん浴びた新茶を使います。
日光浴された茶葉には、抗酸化作用や殺菌効果、肥満防止効果もあるカテキンが含まれており、健康効果が高い茶葉とも言えます。
一方でこのカテキンは苦みがあるのが特徴。温度が高いとさらに苦みが出てしまうので、80度前後が適した熱さです。
番茶 100度前後
番茶は、主に秋から冬にかけて摘まれる茶葉です。
煎茶に使われるような新芽の茶葉がさらに成長し、硬くなったものや茎の部分を使います。
新茶と違い、茶葉自身にカテキンは少ないので、高温で入れても苦みが出にくいのが特徴です。
そのため沸騰直後のお湯を、そのまま急須に注ぎ入れて楽しむ事ができます。
玉露茶 50~60度前後
玉露茶は高級茶とも呼ばれるだけあって、その栽培方法にひと手間かかっています。
煎茶で使われる新芽が出たら、日光から遮断して光合成を抑えます。
これにより茶葉にはビタミンや、うまみ成分であるアミノ酸は残り、苦み成分であるタンニンの生成は抑える事ができます。
このうまみをさらに引き出すため、低め温度のお湯でゆっくりと味を引き出すとうまみが増しておいしくなります。
ほうじ茶 100度前後
ほうじ茶は、煎茶や番茶の茶葉を高温度で焙煎したものです。
高温処理をするため、アミノ酸やビタミン、カテキンなどは減少しますが、香ばしく飲みやすいのが特徴です。
食事の後のお茶としても人気が高く、高温でも苦みを感じる事なく楽しむ事ができます。
またカフェインの含有量も、煎茶や番茶に比べて少な目です。
玄米茶100度前後
玄米茶は、煎茶や番茶に、蒸して炒った玄米を半量混ぜた茶葉です。
玄米の香ばしい香りが高く、また茶葉の量が半量である事から、カフェイン量も少なくなります。
また香ばしい香が強い分、沸騰直後の温度で注いでも、苦みを感じる事なく味わう事ができます。
ただ、あまり長時間放置しておくと、煎茶の成分から苦みが出てきてしまいます。
美味しい日本茶には道具も大切
日本茶を美味しくいただくには、日本茶を正しく入れるための道具を使う事をおすすめします。
適量や適温を把握する事でうまみを最大限に引き出す事ができ、視覚的にも日本茶を楽しむ事ができるからです。
日本茶に必要な道具の総称を「茶器」と言いますが、その中でも特に重要なアイテムをご紹介します。
茶筒
お茶を保管する容器。茶葉は湿気が対敵なので、日本茶専用の容器で保管する方が良いでしょう。
茶さじ
お茶を測る計量スプーンのようなもの。茶葉の入れすぎを防ぎ、美味しいお茶をいつも楽しむ事ができます。
急須
お茶を注ぐポット。
茶葉によって適した素材があり、使い分けれるとさらにおいしいお茶を極める事ができます。
茶こし
急須についていない場合は、茶こしも用意しましょう。
茶碗(湯のみ)
お茶を入れるコップで、サイズや厚みによって温度管理が変わってきます。
煎茶や玉露茶の場合は、お湯の温度が高くないため薄めの茶碗が適しており、高温で楽しむ番茶やほうじ茶の場合は、厚めのしっかりとした茶碗の方が好ましいでしょう。
なお玉露茶は、低い温度で入れて味を楽しむ事から、小さめの茶碗を使うのが主流です。
茶たく
視覚的にお茶を楽しめたり、机やテーブルを温度から守るために茶たくもあると便利です。
日本茶の茶葉ごとの美味しい入れ方
茶葉の種類を理解し、必要な茶器がそろったらいよいよお茶の入れ方を見ていきましょう。
煎茶
①お湯を沸かし、保温が可能な容器にお湯を移します。
②茶碗に、沸騰したお湯を注ぎ、お湯の計量を行います。茶碗を温める効果もあります。
③煎茶を急須に、3g程度入れます。
④茶碗に注いだお湯を急須に移し、1~2分蒸らします。
⑤茶碗に煎茶を入れていきますが、廻し注ぎという少量ずつ茶碗に繰り返して注ぐ方法をとります。
番茶、ほうじ茶、玄米茶
①お湯を沸かします。
②急須に茶葉を3gほど入れて、沸騰したてのお湯を注ぎます。
③30秒ほど蒸らし、廻し注ぎします。
玉露茶
①お湯を沸かし、保温できる容器に移します。
②茶碗に、沸騰したお湯を注ぎ、お湯の計量を行います。茶碗を温める効果もあります。
③玉露の茶葉を急須に、3g程度入れます。
④50~60度まで冷ましたお湯を、急須に戻します。
⑤2分半ほど待ち、廻し注ぎしていきます。
番外編 ティーバッグや冷茶の入れ方
最近では、ティーバックでも美味しく飲める日本茶が増えてきました。
また食事中でも楽しむ事ができるため、冷茶も人気が高まっています。
そこでその入れ方もご紹介します。
ティーバッグ
茶碗でも急須でも入れる事ができます。
基本的にはパッケージに温度や蒸らし時間が書かれているので、それに従うのが良いでしょう。
主な流れは以下です。
①お湯を沸かします。
②茶碗か急須に、ティーバッグを入れてお湯を注ぎます。
③30秒~1分程度待ち、茶碗に廻し注ぎしていきます。
冷茶
麦茶を入れるようなポットでたくさん作ったり、急須で作る事も可能です。
使うお水は、水道水はカルキのにおいがする事があるため、浄水した水やミネラルウォーターを使うようにしましょう。
また、茶葉は自分でお茶パックに移すか、水出しにも使える日本茶のティーバッグを用意します。
お茶パックに入れる茶葉の量の目安は、お水1リットルに対して、10~15gが良いでしょう。
①お茶のティーバッグを、ポットに入れてお水を注ぐぎます。
②冷蔵庫で半日前後冷やします。
急須で作る場合は、通常の温かいお茶を作り茶碗に氷を入れて冷やします。
おわりに
いかがでしたか?
一言でお茶を入れるといっても、その奥深さが理解できたと思います。
正しい入れ方をしてみると、今まで感じなかったうまみやコクを感じる事でしょう。
日本茶の種類や茶器の組み合わせ、正しい作法などは奥深く、一度学んでみるのもおすすめです。
お茶屋さんや日本茶専門的では、定期的に講習会を開催したり、お茶のお教室を開いているところも多くあります。
検討してみてくださいね。
お茶の教室
表参道 茶茶の間
http://chachanoma.com/seminar/
チャイワークス
https://www.chaichiworks.com/hpgen/HPB/entries/4.html
ルピシア
http://ts.lupicia.co.jp/