日本茶や抹茶が海外で人気を博しているのを知っていますか?
今、もっとも海外で喜ばれるお菓子のフレーバーといえば抹茶味だそうで、ジャパニーズスタイルの象徴的存在となっています。
日本茶自体も、NYではスターバックスが日本茶専門の店舗を出店するなど、コーヒーに代わる飲料として注目が集まっています。
海外の人たちは、実際にはどのように日本茶を楽しんでいるのでしょうか。
そこには、私たち日本人も知らなかった楽しみ方がありました。
日本茶はなぜ海外で大ヒットしているのか
日本茶は今や世界で大人気であり、とくにアメリカでは健康志向の高いニューヨーカーがスタイリッシュに日本茶を楽しんでいます。
きっかけはスターバックスのティーバナという日本茶をメインとした店舗の出店です。(現在は店舗は閉店をしています)
ほかにも世界の人に日本食や日本茶が浸透してきた事や、健康ブームも手伝って、2003年頃から一気に加速し世界中に日本茶が広まっているのです。
日本茶の輸出の歴史は、明治時代から始まっていた!
日本茶は、明治時代からアメリカに輸出されるようになりました。
今でこそ「日本茶=安全・健康志向」ですが、かつては技術不足から乾燥が不十分だったり、異物混入などが日常茶飯事で、粗悪イメージが強かったようです。
その後、技術の向上によって品質が安定してきたこともあり、日本茶ブランドは存在力を高めていきました。
健康志向が高まる中で、日本食や日本茶が、ハイクラスの人々に受け始めます。
モデルやセレブが日本食を取り入れる事によって注目が集まり、2013年には「和食」がユネスコの無形文化財に選ばれたことでブームは加速しました。
またスターバックスの抹茶商品の販売によって、日本食だけでなく抹茶や日本茶ブームが起こりました。
アメリカの若い世代ではコーヒーと二分するほど人気があるようです。
こうした追い風によって2014年頃には、輸出額は66億円まで到達しました。
さらに政府は、2020年に150億円の日本茶の輸出を目指しています。
現在はアメリカがメインの主たる貿易国ですが、台湾やタイ、シンガポール、アルコール禁止のイスラム系の国などでも注目が集まっています。
海外でヒットしている日本茶の特徴とは?
輸出されている日本ですが、輸出国によって若干ニーズが異なります。
最も輸出量の多いアメリカでは、健康効能や安全性が重視され、高品質で高価格帯の日本茶が好まれています。
台湾などのアジアでは、レストランなどに出される飲料として需要が高まっています。
他にも、抹茶の飲料、お菓子、料理など加工品のための原料としても輸出販路が大変好調です。
一方で、課題もあります。
世界的にオーガニック(有機栽培)や食の安全性が重視される中、残留農薬や放射性物質を懸念する風潮があります。
特にヨーロッパでは昔からオーガニックへの関心が高いため、使われる農薬や肥料については厳しい目が向けられます。
残念ながら日本茶は、これまでオーガニックという文化がなく、オーガニックとして販売されている日本茶が少ないのが現状なのです。
また、ライバルの存在も見過ごせません。
お茶の最大のライバル国は中国で、お茶や抹茶の輸出量は、アメリカにおいても長年世界1位の量を誇っています。
昔から中国のアメリカへのお茶の輸出は盛んでしたが、アヘン戦争以降、輸出量が減少しました。
そこに代わったのが日本産のお茶で、以降中国茶との市場争いは続いています。
中国茶の特徴は価格が安い事で、中国の生産量は圧倒的です。
こうしたライバルの存在もあって、日本茶業界では、オーガニック展開や生産ストーリーの訴求力を高める動きが出てきています。
オーガニックの日本茶とは?
今後日本茶の拡大のキーワードとなるオーガニックの日本茶とは、具体的にどういう事なのでしょうか。
オーガニックの日本茶とは、簡単に言えば「遺伝子組み換えを行わない」ことと「化学物質の肥料や農薬を使わない」という特徴があります。
日本茶には、これまでオーガニックと言われる有機栽培の文化がありませんでした。
それは、日本茶が昔からなじみが深く、安全性を気にする事がなかった事や、日本茶のデリケートな性質から農薬や殺虫剤を使わざるを得ないという事が挙げられます。
しかし世界では、健康への意識こそが日本茶の人気を後押ししているだけに、オーガニックかどうかが大変重要視されます。
とくに日本産のお茶は、中国産のお茶と比較して6倍ほど価格が高いため、安全性や値段が高い根拠が求めらるのです。
本来、日本茶の栽培では、虫や病気に弱い事から農薬を年に4回ほど撒きます。
当然国の基準値は存在しますが、世界的にみると安全性が疑問視される農薬が使われているのも事実です。
過去には、基準値内の農薬を使用したにも関わらず、健康被害が出たケースもあります。
こうした事から日本茶業界でもオーガニック栽培が少しずつ増えてきていますが、大変な手間がかかり実現には10年ほどの歳月を要するようです。
オーガニックの日本茶としては「KEIKO」、「RICCO」など、いち早く海外をターゲットにしたブランドが有名です。
KEIKO http://keikotea.jp/
厳しいヨーロッパの基準をクリアした日本茶ブランド。
下堂園という日本茶製造会社とドイツ人マルクス・ハステンプフルグによって開発された日本茶。
RICCO https://www.ricco-japan.com/
全ての商品が有機JASオーガニック認証を得ており、完全無農薬、化学肥料を使わない栽培をしている。
海外での日本茶の楽しみ方とは
実際に海外では、どのように日本茶が楽しまれているのでしょうか。
日本茶や抹茶は、海外ではスーパーフードのような扱いで、健康志向の高い若い世代の人にヒットしています。
おしゃれな店舗で、最先端な飲み物として展開されており、飲み方もオーソドックスな日本茶というよりは、ラテやアイスなどの楽しみ方が広がっています。
今注目のお店をご紹介します。
▪Gen Sou En Tea House
2018年1月にボストンにオープンしたGen Sou En Tea Houseは、日本食が食べられるカフェとして注目されています。
店内はスタバのようなおしゃれな雰囲気ですが、本格的な抹茶やほうじ茶も楽しむ事ができるようです。
▪Matcha Bar
https://matchabarnyc.com/#front
一方、ニューヨークで展開中のMatcha Barは、日本茶をアメリカナイズしたお店です。
日本茶にはまった兄弟が、「抹茶を世界に広げる」というコンセプトのもとオープン。
Barというだけあり、「Macha shot」という商品があったり「アールグレイ抹茶ラテ」という日本茶の新しい楽しみ方が展開されています。
▪DAVIDs TEA
https://www.davidstea.com/us_en/home/
カナダ発のお茶のカフェ「DAVIDs TEA」は、ナスダックに上場した今注目のお店です。
茶葉の種類は150種類以上で、それぞれブレンド商品があり、その豊富なバリエーションが人気の秘密です。
美容やデトックスなど健康症状ごとにお茶をセレクトできるのも特徴です。
▪Matcha Mylkbar
オーストラリアのメルボルンにも日本茶や抹茶のカフェがオープンしました。
こちらは抹茶をメインとした、パンケーキや抹茶ボウル、抹茶アイスなど、デザートがヒットしています。
いかがでしたか?
今や日本茶や抹茶は、日本文化の枠を超えて世界中でヒットしているスーパーフード。
日本国内でも、再輸入のように日本茶ブームが来ており、ますます人気になりそうです。
一方では、海外の人から見た日本茶は、健康のために摂り入れるものであり、有機栽培への対応や、ビジネスチャンスを狙うライバル中国との差別化も求められています。
今後ますます広がるであろう日本茶ブーム。
ぜひ海外に行った際には、新感覚の日本茶ドリンクを見つけてくださいね。